2022年春、人間関係に悩んでいた時。縁結びの神社として名高い伊勢神宮のことを、ふっと思いだした。
なぜだか唐突に、伊勢志摩へ行きたくて仕方がなくなり、ずっと気になっていた特急しまかぜに乗って旅行することを決めた。
旅程
| 日程 | 内容 |
|---|---|
| 1日目 | 名古屋へ前乗り |
| 2日目 | 名古屋から特急しまかぜに乗って鳥羽へ 鳥羽水族館を観光 宿泊先、二見へ向かう |
| 3日目 | 伊勢神宮を参拝 おかげ横丁で食べ歩き |
この度振り返る旅行の行程はこんな感じ。のんびりまったりとした癒し旅でした。
特急しまかぜとは

今回利用した特急しまかぜは、大阪・難波駅、京都駅、近鉄名古屋から賢島を結ぶ特急電車。
6両編成で、3~4名で利用可能な個室やサロン席のほか、ゆったり座れるリクライニング式のプレミアムシート、伊勢志摩までの景色を存分に満喫できるよう展望に特化したシートなど、バリエーションが豊かな座席が特徴。

展望車両を予約する場合、乗車駅によって展望車両の向きが変わるので、気を付けましょう。私自身、展望車両を予約したつもりがプレミアムシートを予約していて、乗車後に移動しました…(T T)
カフェスペースもあり、松阪牛を使ったカレーやお重のほか、スイーツも用意されており、移り変わる景色を望みながら美味しいお食事をいただけます。
特急しまかぜの料金は
特急しまかぜに乗車する場合、通常の乗車券のほか、特急料金、しまかぜ特別車両料金がかかる。さらに個室を利用する場合には、別途で1室あたり1,050円かかるので気をつけよう。
下記に、各駅から賢島までの料金を掲載しますが、いずれも2025/10/22時点の情報となりますことご留意ください。
大阪難波駅からの料金

引用:観光特急しまかぜ|近畿日本鉄道
京都駅からの料金

引用:観光特急しまかぜ|近畿日本鉄道
近鉄名古屋駅からの料金

引用:観光特急しまかぜ|近畿日本鉄道
特急券の購入はオンラインのほか、近鉄窓口や旅行会社で可能です。私自身は、公式サイトから購入しました。
1日目|いざ名古屋へ

翌日、午前中の便で伊勢志摩へ向かうため、一日早く名古屋に到着。久屋大通にあるホテルにチェックインした。
この日は翌日の移動に備えて休むだけ…。
確か夕食は、近くのコンビニで済ませたような。
2日目|念願の特急しまかぜで伊勢志摩へ
午前中に近鉄名古屋発の特急しまかぜに乗って、伊勢志摩へ移動する日。鳥羽水族館を観光した後で、宿泊先の二見へ向かう。
8:14|朝ごはん

早い時間から開いているカフェを探して、モーニング。エッグベネディクトのセットを注文。
エッグベネディクト、好きだけれど中々作ろうとは思わない料理なので、出先で見つけると頼みがち。
食べ始めてしばらくして、はたと心配事が思い浮かんで鞄に手をやる。案の定、財布を持ってくるのを忘れていた。
ホテルはすぐそこなので、万一キャッシュオンリーだったら何かを預けてホテルまで取りに戻らなくては…、と担保になるものを考えながら、お店の情報をネットで調べる。
お店の詳細が載っているサイトを見つけ、支払い情報を確認するとQR決済が可能とあって、ほっと胸を撫でおろした。
9:20|近鉄名古屋駅着

名古屋駅周辺に来ることは、それまでに数回あったものの、殆ど名古屋駅周辺のカフェやホテルで完結しており、遠方へ行くにしても車移動が殆ど。地下鉄を利用したことはなかったうえに、前日、久屋大通駅へたどり着くまでも迷子になっている。
電車に乗り遅れたら元も子もないので、一時間近く早く着くようにホテルをチェックアウトした。
無事に近鉄名古屋駅に到着すると、特急しまかぜの乗車ホームへ向かう。
10:17|近鉄名古屋駅から特急しまかぜに乗車

10:17、洗練されたエレガンスボディが滑らかにホームへ到着。ブルーの車体は伊勢志摩の晴れ渡った青空をイメージしているそう。
志摩に吹く爽やかな風をイメージして命名された「しまかぜ」。鬱々とした気持ちをさらッと取り払ってくれそうな、すがすがしさと優しさを感じる名前である。

シートへ続く扉。扉に入れられた斜線デザインは、しまかぜのロゴにも、さざ波にも見える。遊び心がありながらも、スモーク調になっていて、座席のプライバシーが守られていて良い。

扉。淡い水色は、志摩の空をイメージしているのだろうか。穏やかな色。

リクライニング機能がついており、ゆったりと深く腰掛けられるプレミアムシート。窓の位置が膝下にあり、まるで空中を座ったまま移動しているかのような颯爽とした感覚を得られる。
展望車両の最前列を予約したつもりが、プレミアムシートの最前列を予約しており、途中で移動。展望車両を予約する場合には、乗車する駅によって展望車両の号数が変わるので、よく確かめましょう。
10:41|幕ノ内弁当を食す

着席すると、乗務員の女性が座席を回って乗車記念証とお手拭きをくださった。こういう時にもらったものって、たとえ消耗品でも大切に保管しておきたくなる。
流石にお手拭きは使ってしまったけれど、今度からはハサミを持参してきれいに開封した上で外袋だけでも保管しよう。

さて、特急しまかぜ車内や近鉄の主要駅で購入できる特急しまかぜの特製幕ノ内弁当。周囲を見渡すと、お昼にしては早いからか飲食している人がおらず、誰か食べ始めないかと様子を窺っているうちに乗車してから20分が経過してしまった。
せっかく買ったのだ。人目を気にしていては勿体ない。意を決して、弁当の蓋を開ける。

しまかぜの車体がプリントされたおしながきと、箸、おてふきが同梱されている。

列車によってお弁当の内容は変わるそうだが、名古屋コーチンを使った時雨煮や、鰻ご飯、天むす、八丁味噌のヒレカツ、はじかみ生姜など、郷に根差したおかずが揃っていた。
時折窓の外の景色へ視線をやりながら、のんびりと食べすすめる。目的地までただ時間に身をゆだねるこの時間のなんて幸せなこと。
11:55|ありがとう、特急しまかぜ

11:55、おおよそ100分の特急しまかぜ堪能を終え、鳥羽駅にて下車。せっかくなら終点の賢島まで乗っていたかったなぁと寂しさを感じつつも、列車を見送った。

次なる目的地は、鳥羽水族館。鳥羽駅からは徒歩で10分と公式サイトで確認済。港の脇を地図の通りに進む。

道中で見かけた「ミキモト真珠島」。鳥羽にあるミキモト真珠島は、明治26(1893)年に世界で初めて真珠の養殖に成功した場所。
駅周辺には、真珠専門店が立ち並ぶパールタウンや、真珠島を巡るクルーズもある。この時には時間の関係で行かなかったが、真珠の取り出し体験なんてユニークな体験もあって大変気になった。
12:23|鳥羽水族館着

のんびりと港風を感じながら歩くこと、十数分。鳥羽水族館に到着。

受付でチケットを購入し、水族館に足を踏み入れる。

天井から吊り下げられた、存在感抜群のクジラ。クジラの種類って100近くあるらしい。詳しくないので、このクジラ(と思しき生き物)の種類について言及はしない。
写真を挙げるとキリがないので、この後は気に入っている生き物の写真を数枚掲載。

ほおずきのように繊細な筋の入った手毬のような形をしたこの子はフグ。名前は定かでないが、ハコフグというやつだろうか。
フグを食べたことはないのだけど、子供の頃からペットショップでは時折見かけるので、何となく身近な存在。小指ほどもない小さなフグって、あのふくれっ面も相まって何とも可愛い。

亀と一緒に水槽にいたこの賢そうな子とは、旅行唯一のツーショットも撮影した。しっぽまで含めた体長は私よりも大きかった気がする。やぁハンサムボーイ。

アシカショーも見た。ちょうどタイミングが合ったのだ。アシカってぬるっと動く。あまりにしなやかで、哺乳類というより爬虫類のヘビを彷彿とさせる。床の上を小さく跳ねながら、ぬるぬると移動していた。

ワニ。ゴツゴツとした、とっつきにくい質感もさることながら、ギロリとこちらを睨みつける鋭い目も大好き。絶対に自然界では遭遇したくないし、水槽越しでも緊張感があるものの、こういう時でないと間近で観察することはできない。
到底私にはなりえない、常に生死を背負っている者にしか出せない佇まいに、しばらく圧倒された。

途中休憩。お昼ご飯は、特急しまかぜの中で幕の内弁当を食べたので、軽食を。
このスーパーやフードコードで時々見かける串にささった磯部餅が好きだ。もっちりと柔らかな食感に、香ばしい焦がし醤油の風味。普段、生活をしている中で思い出すことはないのに、見かけるとつい手に取ってしまう。

どうしても可愛いカワウソ。この小さなお手手も良いけれど、何よりこの口元が堪らない。魚を手づかみで食べる時の獰猛な表情は露ほども想像されない穏やかな寝顔である。

ぼんやりな様子のカピバラ。子供の頃、カピバラのキャラクターグッズをたくさん持っていたので、思い入れがある。デフォルメイラストからは想像できない、ごわごわとした逞しい質感がまた良い。

何かを訴えかけている様子のナマズ(と思しき生き物)。思わず一礼してしまいそうなほど、叡智を感じさせる面持ち。
この子が最後。
普段中々お目にかからない多様な生き物を観察し、大満足で退館した。
15:00|パールタウンを戻る

パールタウンへ寄り道しつつ、鳥羽駅へ戻る。

旅行の思い出に、何かひとつ、真珠のアクセサリが欲しいなと思い、開いているお店の様子を窺った。このうち、ひとつのお店に入り、ネックレスを2つ、自分用に購入した。
家族や友人へのお土産も買ったような、買わなかったような。三年半が経過した今ではもう忘れてしまった。

ホテルに帰ってから撮ったネックレスの写真。植物のタネのような形をした、ハリツヤのある真珠。自分のために真珠を買ったこと自体、初めての経験だったので、いくらか背が伸びたような澄ました気持ちになった。
15:22|二見浦へ

真珠を買ってほくほくと浮かれた気持ちで駅に戻る。この日の宿泊先は、二見浦。車窓からは豊かな木々の緑と、凪いでいる伊勢湾が望める。

静寂漂う車内で、ゆったりと車窓を眺めること、わずか10分。

JR二見浦駅に到着。ここからホテルまで、更に徒歩で約10分。
16:00|ホテルにチェックイン

山の森林が拝める涼やかな部屋。しぶい赤色のソファと、レース調のカーテンなどレトロな雰囲気が素敵であった。

なお、こちらの旅館では貸し切りのお風呂を予約できた。まだ日も落ちる前に予約して、あったかい湯舟を堪能した。

貸切風呂の前には、リラクゼーションコーナーも。人と行った時など、相手より早く上がってしまった時の待ち時間をすごすのに良い。ただ一人で行ったので、特に利用することはなかった。
さて、私はこの日唯一後悔したのが、夕食のリサーチをしなかったことである。もう時間が経っているので、詳しいことは忘れてしまったが、夕食で行こうと思っていたレストランがその日に限って閉まっており、せっかく伊勢志摩まで行ってコンビニ弁当を食べた。
3日目|伊勢神宮参拝

この伊勢志摩旅行の最大の目的である伊勢神宮参拝をする旅行最終日の朝。宿泊した旅館からほど近い場所に観光スポットとなっている夫婦岩があるというので見に行った。

曇っており、遠くはよく見えなかったが、鳥居のたつ大きな岩と、小柄な岩とがしめ縄で対になっていた。
天気が良ければ、夫婦岩越しに朝日が見えて絶景だろうなと思いながら写真に収めた。
10:28|伊勢神宮参拝
この旅行最大の目的であった伊勢神宮の参拝であったが、境内の写真を撮るのは何となく憚られたために写真がない。
同じく記憶もすっかり朧。ただ修学旅行生が多かったことと、青々とした大木が茂っていたこと、境内内に流れていた小川の澄んでいたこと、だけ覚えている。
ちなみにこの後でご縁があったかと言うと、確かにあった。それが良縁として結ばれることはなかったが。
11:26|おかげ横丁で食べ歩く

左手を挙げた招き猫の像が出迎えてくれた、おかげ横丁。

最初に立ち寄ったのは、伊勢うどんのお店。もうこの旅行より何年も前にテレビで伊勢うどんを見た。太めのうどんに醤油ダレをかけただけのシンプルなうどん。シンプルゆえに想像ができなくって、ずっと気になっていた。

もう3年以上の時を経て、味は忘れてしまったが、幅1cmほどある太いうどんは私の吸引力では吸い上げることはできず、不器用に箸で持ち上げながら食べた記憶がある。

通りが見える座席。砂利が敷かれている舗道や、瓦屋根の街並みなど、風情を感じながら食べられるのが良い。

うどんの写真だけでも数枚撮ってしまうくらい、はしゃいでいたようだ。
さて、うどんを食べ終えて向かった先はコロッケ屋さん。コロッケと言えば、食べ歩きスポットの常連でありながら、いつでも列をなしている。この時も、コロッケの列が店外まで伸びていた。

メンチカツとコロッケのどちらにしようか、会計の直前まで悩んだ。しかし本来の目的であるコロッケに決めた。

まるっと綺麗なコロッケ。パン粉が細かいからか、形がよくて品がある。小雨が降る中、コロッケが湿らないように手で覆い隠しながら食べた。
コロッケを食べ終え、散策を続けると目についたのが地ビール。

あまり味は覚えていないが、柑橘の苦みがあったような、なかったような。

蒸し牡蠣も注文して、ビールと一緒に食べた。味は覚えていないのに、蒸し牡蠣が700円程度で買えたことと、その手頃な価格に驚いて、旅行から戻るといろんな人に牡蠣の値段を言いふらしていたことだけは覚えている。

思えば、屋外で昼間っから一人ビールを飲んだのは、これが初めてかもしれない。
13:57|帰途に就く

さて、あっさりと伊勢志摩旅行2泊3日を振り返った。この時期、浮かない気持ちで鬱々と過ごしていたが、伊勢神宮から戻る頃には気持ちも晴れて、
「あぁなんだか身も心も軽くなったな」
などと、独り言ちた。しかしそれもそのはず、荷物をすべてコインロッカーに預けたまま忘れていたのだから。電車が来る直前、どうにかそのことに気が付いて、駅員さんに事情を話すと、一度改札から外に出て駅構内のロッカーまで取りに行かせてもらえたからよかったものの、もし思い出すことなく帰途についていたらと思うと肝が冷える。

伊勢から名古屋を中継して、関東の自宅まで数時間また電車に揺られた。

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