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2022年12月7日|本日の予定
●本日の予定
朝ごはん:ソルロンタン
目的地:水原華城(スイゲンカジョウ/スウォンハソン)
夕ご飯:チュクミ
韓国ひとり旅行2日目。この日の予定は、世界遺産である水原華城の観光。ソウルから1時間程度とアクセスが良好。どのくらい観光に時間がかかるか、そもそも目的地へスムーズに向かえるかもわからないので、目的は水原華城のみとした。
さて、このプランが旅程通りに運んだかって…?先に断っておくと、答えはNO。「水原華城(前編)」とあるように、この日は目的地へはたどり着けなかった。その理由は、日記の中に…。
10:05|地元の食堂でソルロンタン

明洞の繁華街を、少し奥まった道へ入り込んだ場所にあるソルロンタンの人気な食堂。ここをどうやって知ったのか忘れたが、直感で「良さそう」と感じた。
家族で運営しているようなアットホームな雰囲気がある食堂で、モーニングには遅いしランチには早い時間帯だったからか、客はまばらだった。

指をさして注文し、待つこと数分。念願のソルロンタンが運ばれてきた。付け合わせには、幅二センチはあろうかと言うほど大ぶりのカクテキと、山のように積まれた白菜のキムチ。写真左に映っている銀食器の中身は白米である。
事前にネットでソルロンタンの食べ方は知っていたが、お店の方は丁寧にもジェスチャーで教えてくれた。
「そこに塩が入っているから、味を足して食べてね!」
大きく頷くと、お店の方はにこりと微笑んで厨房へ下がっていった。教わった通り、テーブルの隅に置かれた容器から塩をすくって鍋に入れる。

かなり入れても良さそうだ。ティースプーン1杯程度入れてもまだ優しい味わい。

モッパンや韓国の旅行VLOGで見て憧れていた銀色の長い箸で麺をつかむ。つるつると口へ運ぶと、煮込んだそうめんほどやわい。これは二日酔いの朝や、風邪を引いた時に食べたくなる。日本で言うお粥のような存在だろうか。
麺をほぼ食べ終えると、一緒に運ばれてきたお米を加えて、スプーンでくずしながら食べる。優しい味わいでありながら、お腹にはきちんと溜まるので、一日の活力にはもってこい。
私が食事を終える頃には、早いお昼ご飯のつもりか、段々と人が増え始めていた。会計をして店を出ると、まぶしい日差しの中、本日の一番の目的地である水原華城へと足を向かわせた。
|明洞駅からソウル駅へ

お腹も満たされ、まぶしい日差しを浴びながら駅へと向かう。前日、明洞駅に到着したころには暗くてはっきりと見えなかった街並みが鮮明に映った。
水原までは、高速鉄道(KTX)や地下鉄、バスなどの行き方がある。私は移動中の身体への負担も考えて、一番早く行くことのできるKTXを利用することに決めていた。KTXへはソウル駅から乗車できる。
ソウル駅に着くと、KTX乗り場へと標識をこまめに確認しつつ向かう。乗り場の手前に切符の販売窓口があったので、その列に並んだ。

「スウォン カゴ シッポヨ(水原へ行きたいです)」
ここでも旅行のために覚えた即席の拙い韓国語で伝える。係の女性は、面倒くさそうに手続きをしてくれ、白いレシートのようなものを手渡された。

ここに乗車するKTXの車両番号と時刻、座席番号が表示されている。乗り場までは書いていないので、電光掲示板で該当の車両を探す。

ハングルは読めないので出発時刻を照らし合わせて、何とかそれらしい電車を発見。到着するホームを確認した上でホームへ降りた。

KTXの電車が発着する乗り場。青地に大きく数字が書いてあるので、ホームの番号が分かれば迷うことはない。
11:39|KTX乗車

真っ赤な車両がホームへと滑るように入ってくる。手元のチケットに記載されているカーナンバーと照らし合わせた上で乗車。
チケットに指定されている座席まで、まっすぐに向かう。水原までは約43分。移り変わる景色を眺めながらぼうっと過ごした。
12:15|水原駅到着
電車に揺られることおよそ43分、水原に到着した。
着いてまず感じたのは、その肌寒さだ。ソウルから1時間もかからずに来ることができるのに、ソウルと比べて格段に寒い。その冷え具合はガラスの破片が宙を舞っているのではと錯覚するほどだ。

特に水原とは関係ないが、駅で見つけたフラミンゴのカミソリ。目が恋していて可愛い。
13:00|水原華城へとバスに乗る
事前にネットで水原華城へ向かうバスの番号は調べてあったので、該当する乗り場を探す。駅前にロータリーの地図があったので、それを見ながら探すのだが、いまいち見方がわからない。
バスの番号はわかっているのに、それがどのバス停に到着するかがいまいちわからずに、うろうろ。地下道を通って道路向かいのバス停まで行くと、ちょうどバスが来たので、運転手の方に「水原華城へ行きますか」と尋ねると、何事か韓国語で怒鳴り返されてしまった(実際には大きな声で何か伝えてくれただけかもしれないが…)。
結局、来たバスには乗らずに駅前のバス乗り場まで戻る。その後、さらにうろうろすること数分。経緯は覚えていないが、駅前のバス停で改めてバスを探していると、目のまえに一本のバスが止まり、あぁこれだ、と導かれるかのようにバスに乗車した。
13:29|迷子

ようやくバスに乗ったは良いが、五分、八分経っても、水原華城の姿は見えない。ホームページのアクセス欄で確認した時には、水原駅からバスで5~10分とあった。もうそろそろ着いても良いはず…。
不安に思ってグーグルマップを開き、現在地を確認すると、不安が的中。水原華城は水原駅を挟んで反対方向にある。
このままぐるりと遠回りして水原華城まで行くだろうか…。水原華城から離れ続けるバスの中で、それでも淡い期待をぬぐえずにそんなことを思う。その間にも、するするする、バスは大通りを流れるように進んでいく。
バスに乗車すること十数分、何度目かバスが停車した。このまま乗っていれば水原華城へ行く、そんなはずがないだろう!自分の失敗から目をそらして幻想を抱こうとしていた自分に喝を入れ、バスを降りた。
しかし、ここはどこだ。
降りたものの、それがどこかわからない。まだバスに乗って十分程度。バスで10分なら、徒歩で30~40分程度歩けば、水原駅に帰れるのではないか。
前日に想定外の買い物をしている私には、バス代すら惜しまれた。
だが一度、気持ちを入れ替えたほうが良い。せっかく旅行に来ているのに、美容部員のカモになったりバスの運転手に怒鳴られたりした挙句、目的のバスでないのに飛び乗ってしまうなど。
そこで休憩できる場所を探して、適当な方角に歩き始めたのだが、降りた場所はちょうど住宅街。幼稚園や学校がぽつぽつとあるほか、高層マンションが立ち並んでいる。お洒落なカフェや、フードコートのありそうな商業施設は見当たらない。
しばらく歩いた先でセブンイレブンを見つけた時は、思わず手を合わせた。
幸い、そのセブンイレブンにはテラス席があった。喉を潤すためのコーン茶と、心をほぐすためのカフェオレを買い、優しい笑顔の女性店員に心を温められて店を出ると、テラス席に腰を下ろした。

時計を見ると、水原に着いてから一時間が経過している。スムーズにいけば、もうとっくに水原華城を観光している頃合いだ。これから水原駅へ戻って、改めて正しいバスを探すとなると、水原華城に着くのは早くて二時。夜ご飯は、混む前にチュクミを食べに行きたい。
甘ったるいカフェオレを飲みながら、しばし悩んだ挙句、その日はそのままソウルへ戻ることに決めた。
この後、一度は徒歩で水原駅へ戻ろうとしたのだが、入り組んだ住宅地でさらに迷い、二十分ほど同じ道をぐるぐる(それはまるで狐に化かされたような、情けない気持ちになった)と歩き続けたあとで、バスを探すことに決めた。
大抵、バス停というものは道路を挟んで上りと下りが設置されている。降りたバス停の向かいへと道路を渡り、十数メートル歩くと無事に水原駅へと戻るバス停を見つけた。
15:00|帰りのKTXに乗る

迷いに迷った挙句、水原駅にて帰りのチケットを手にした時は、水原華城へ行けなかったことよりも無事にソウルへ戻れることへの安心感の方が強かった。

柔らかい座席にゆったりと腰を下ろすと、ぼんやりと車窓からの景色を楽しみながらソウルへと戻った。
15:56|ソウル駅でドーナッツ

無事にソウル駅に戻ると、ひとつ困った出来事があった。それは時間の使い方である。
この日の予定は水原華城の観光のみ。水原華城はかなり広いので、時間も相当に予定していた。迷うことはあっても、到着を断念することを想定していなかったので、代替案がない。
ソウルタワーなど、気になる場所があるにはあったが、そこへ観光するには時間が足りない。駅の待合席とお手洗いを往復しながら、数分間悩み、夕食までの時間はカフェに入ることにした。
幸い、ソウル駅構内には今どきのカフェやなじみ深いチェーン店など、多くのお店が入っている。
そして最終的にはマクドナルドと迷った挙句、せっかくなら普段とは違う贅沢をとドーナッツ屋へ入った。

ウグイス豆っぽい甘い緑色の餡が入ったパンと、あんこの入ったパンの間に生クリームがギュギュっと挟まったとんでもなく贅沢なパン。パン生地は、揚げたカレーパンのような罪深い食感だったと記憶している。
日本にいる時は、間食にはドーナッツより煎餅、ホットケーキよりカップ麺を選ぶことが多いのだが、心細い時の疲労感にはやっぱり甘いものが効く。それも底なしに甘いものが。
16:45|チュクミ村へ
ドーナッツ屋を後にし、チュクミのお店が立ち並ぶ「チュクミ村」との別名を持つ村へと向かう。そこがチュクミ村と呼ばれていることと、ソウルからアクセスが良く20分もかからずに行けたことは覚えているのだが、その最寄り駅の名前はすっかり忘れてしまった。
到着した頃には、あたりはすっかり夜の影が落ち、また一段と冷え込んでいた。
事前に調べていたチュクミ村の場所へと駅を背に歩く。段々とチュクミの店がぽつぽつ見え始め、候補にしていた店を見つけた。
17:12|入店
「ホンジャ イェヨ(一人です)」
指を一本立てて、会釈する。店内には、年配の女性店員の他は誰もおらず、とても静かだった。女性店員はメニューを手に、「二人前からだけど大丈夫?」とジェスチャーで確認してくれた。
「ネイ ケンチャンスムニダ(はい、大丈夫です)」
即席の韓国語で短く答えると、店員の女性は広い四人掛けの席へと案内してくれた。メニューを手渡されたが、頼むものは決まっている。
17:15|念願のチュクミ

座席に着くと、ほどなくしてたくさんの小皿と、大きな鉄鍋が運ばれてきた。上記の画像は、手前右から、カレー風味のタレ、わかめスープ、マヨネーズサラダ、エゴマと青唐辛子、ウリ?の酢漬け、もやし、ニンニク(であっているはず…)。
店員の女性は、私が韓国語を喋れないことにすぐに気づいてくれ、ジェスチャーを使って精一杯に料理の説明をしてくれた。
話は逸れるが、私がこの韓国旅行でひとつ反省していることがある。それは言語の壁についてだ。私は自分の意思を伝えるための韓国語をほんの数フレーズ覚えて行ったが、それは極一方通行なものだった。相手が私に何かを伝えようとしてくれても、私はその意図がくみ取れない。ジェスチャーで伝わることもあるけれど、すべてではない。自分の意志だけ伝えて、相手の思いをくみ取れないようじゃ、コミュニケーションは成立しない。
このお店でも、私は「ひとりだけど、二人前を注文します」と意志を伝えたが、もしかしたら「ひとりで二人前は注文できない」と言われていたかもしれない。私が韓国語を理解できないと分かったから、仕方なく通してくれたのかもしれない。実際のところ、どうだったかは今更わからないが、座席に着いてチュクミを待ちながらそんなことを思った。

さて、話をチュクミに戻そう。私がモッパンに出会ったのは、確か21、22の時。それから特に憧れていた韓国料理が、トッポギ、チキン、オデン、ソットック、カンジャンケジャン、ソルロンタン、そしてチュクミだ。
トッポギやチキン、カンジャンケジャンは日本でも食べられるが、チュクミのお店は中々見つけられなかった。またあったとしても、日本人の口に合うようにかなりマイルドに味付けされている印象だった(口コミ等を見て)。
そこでずっと本場のチュクミに憧れを抱いていたのだが、そのあこがれ続けたチュクミが目の前に、ついに運ばれてきた。

モッパンで何度も見ているように、エゴマの葉に巻いて、一口でぱくり。ふわっとエゴマの独特の香りが鼻から抜ける。生のニンニクの苦みを伴う辛味、プリっと歯ごたえのあるタコ。
辛い。思っていた何十倍も辛い。
どのように辛かったのか、三年経った今では忘れてしまったが、辛すぎると感じていることに気づかれないよう無表情を意識しながら黙々と食べすすめたことだけは覚えている。
どうにか食べすすめ、ひとりなのにもてなしてくれたお店の人に感謝の意を伝えると、お店を出た。
すっかり夜に包まれた街中で自分の白い息を見つめながら、食べる直前が一番美味しいという真理について思いを馳せた。
今度は、チーズを入れたチュクミを食べに来よう。誰かを誘って二人以上で。その時はチュクミのしめにポックンパ(炒めご飯)も頼むんだ。
あと、エゴマを食べ慣れておこう。
19:03|明洞市内に戻る

明洞に戻ると、まだ19時過ぎだった。窓のない部屋に戻るには、早すぎる。そこで明洞駅の周辺を散策することにした。
慣れない土地では、夜に女一人で出歩くのは危険だからよせ、と言われるが、明洞駅周辺はどこも明るく若者で賑わっており、ホテルに戻るのは勿体ないと思えた。
明洞駅の地下街だったか、手頃な価格の洋服や雑貨の店が立ち並ぶ通りがあり、そこには日本のアニメ「クレヨンしんちゃん」のキャラクターグッズもちらほらとあった。
旅先で記念の品に洋服を買うことに憧れがあった私は、ひとつの店でカジュアルなパーカーを買った。青と紫の二色があり、迷った挙句、同じデザインのパーカーを二種類レジへ運んでいた。日本円にして1,000円~1,500円。パーカーには太い文字で「L.A.」と書いてあった。
19:21|明洞大聖堂

市内を散策するうち、明洞大聖堂に出た。クリスマス前だからか、通年そうなのか、清らかにライトアップされており、カップルが数多くいた。
カップル達をよけながら、階段をすすむ。大聖堂の敷地内には、キリストの生涯を描くモニュメントが 点在していた。

後々調べると、明洞大聖堂は韓国最古の教会で韓国で初めて建築されたゴシック様式の建造物だそう。明洞駅から徒歩でアクセスできるうえ、繁華街のすぐそばにあるので、まさかそんな歴史的建造物だとは知らなかった。
19:43|レオニダスチョコレートで一休み

韓国旅行二日目、カップルをたくさん見たからか、迷子になってたくさん歩いたからか、一方通行なコミュニケーションに情けなくなったからか、はたまたその全てか、なんとなく心細い気持ちになってしまった私は明洞大聖堂から明洞駅へ向かう坂道の途中で、とあるカフェを見つけた。
シックな外観、暖かそうな橙色の明かりが灯る店内に吸い寄せられ、気づいた時には座席に腰を下ろしていた。
後で調べると、入ったそのカフェはベルギーで100年以上の歴史を誇るチョコレートの専門店「レオニダス」の明洞店だった。
冷えた指先で、ホットチョコレートを指さすと、少しして優美な線の描かれたホットチョコレートが運ばれてきた。
ひと口含むと、とろっと重く甘いチョコレートが、今にも吹き飛びそうな心をじんわりと宥めてくれた。
しばらくの間ぼうっとしていると、少しずつ心に活力が戻って、店員さんに会釈をすると店を出た。
20:30|夜市でおやつ

穏やかな面持ちでレオニダスを出ると、ホテルに戻る前にもう少し散策をしようという気になった。クリスマスツリーが聳える繁華街中心地へ向かいながら、何か興味の惹かれるものがないかと辺りを見回す。
すると一台の屋台が目に留まった。アルミホイルの敷かれた鉄板に、茶色と白色の何かが棒に挿されて並んでいる。目を細め、よくよく見てみると英語で「Sausage ricecake」と書かれているではないか。
「ソットックだ!!!」
それはチュクミと同じく、私がずっと憧れていた韓国グルメのひとつ。ソーセージとお餅を串にさして揚げたものに、甘辛いソースが掛かっているのが特徴だ。
お店の場所を確認すると、ほかにもソットックを出しているお店がないか、近くを見回し、ほかにないことを確認した後で、その屋台へと立ち寄った。
「イゴ チュセヨ!!」
現金と引き換えに、ソットックを受け取る。
「カムサハムニダ~!」
今にも夜空に飛び上がりそうな気持ちで、屋台を背にする。写真を撮ったうえで、念願の一口はホテルでゆっくり味わいたい。人混みで、ソットックが人にぶつからないよう、埃をかぶらないよう、軽く手で隠しながらいそいそとホテルへ戻る。

自分の部屋のある階へ上がるエレベーターの中で、香ばしいソーセージの香りと甘辛いケチャップの香りがふわっと漂う。何度も「今もう食べちゃおうかな」と口を開きかけては、いやいや一口目は大事にしよう、と自分を宥めた。
ようやく部屋にたどり着くと、憧れのソットックと2ショットを撮り、動画にも収めた上で、ようやくパクリ。
バリっと弾けるような音がして、ソーセージの肉汁が口いっぱいに広がる。続いて餅を頬張ると、今度はカリッと軽い音がして、中からねっとりと粘度の高い餅が現れた。
ケチャップとマスタード、そして塩コショウ、というシンプルな味付けだが、なんともクセになる。この3泊4日の韓国旅行中、毎晩夜市へ出かけたが、一番印象に残っているのがこのソットックだ。
次に韓国へ行く機会があったら、その時にも絶対に食べると決めている。
2日目|おやすみ
ソットックを食べ終え、少し休んでからシャワーを浴びて布団に入った2日目の夜。
もう旅行も残すところ1泊なのかと思うと、何とも言えぬ寂しさを感じた。現実社会に戻りたくない。
そうは言っても、楽しい時間は頑張る時間があってこそ。寂しいと思えるのは、自分の手には収まりきらないほど、その時を楽しんでいる証拠とも言えよう。
ラスト1泊2日、続きは次のページで。
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